2016年2月26日金曜日

『ユリゴコロ』



『ユリゴコロ』沼田まほかる著(双葉文庫)

やっと読みました。すごい。

「ユリゴコロ」、それは成年した息子が実家の余命いくばくもない父の部屋の押し入れの中からみつけたノートのタイトル。ノートには一人の人間の生い立ちが書かれている。
自分と他人とにうまくなじめない人間は、どうアイデンティティーを確立するのだろうか。一体何を「よりどころ」とするのか。ノートの中のワタシは人を殺すことで、人が死んでいくその瞬間だけ、「ちゃんとした人間」だと感じられる。アナタに出会うまでは。

ページをめくる手がちょっと震える。でも、そんな連続殺人犯の告白が、ノートという形をとっているので、殺人がメタファーのようでちょっと距離をおいて読み進められる。怖いけど怖くない。そのうちだんだんとああこれは愛の話だと気づく。

愛にはいろいろな形があり、愛はだれの特権でもない。著者は結末でワタシが愛することも愛されることも許す。

同作者の『彼女がその名を知らない鳥たち』も愛の話だったけど、読後に絶望感がまさった。が、『ユリゴコロ』は描写に多少ユーモアもあり心に優しかった。







本日36度。

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